経鼻食道瘻カテーテル法(EDチューブ)

食欲廃絶等は動物にとって命にかかわるような栄養障害を起こすことがある。そのため消化管に異常がなければ本処置による栄養管理が可能である。


〜利点〜

・チューブ設置は時間を要さず簡便に設置可能

・皮膚切開などは必要ない

 

~適応~

①開口・咀嚼障害

②口腔内手術後

③嚥下障害

④十分な栄養給餌を必要とするケース

 

~方法~

①栄養カテーテル、縫合糸、外科用接着剤、3~5ccガストログラフィン、10

 cc シリンジ、生理食塩水、エリザベスカラーを準備する。

②クランケに対し、挿入する鼻孔にキシロカインで局所麻酔を行う

③助手に頸部を伸ばした状態で保定してもらい、栄養カテーテル先端にキシロカイ

 ンゲルを塗布し、鼻孔から挿入する

④胃噴門部手前までカテーテルを挿入し、10ccシリンジで陰圧になっている事 

 を確認し、続いて生理食塩水5~10ccを注入し、気管に誤挿入していないこ

 とを確認する。

⑤ガストログラフィンをチューブに注入し、レントゲン撮影し、カテーテル先端の  

 挿入位置を確認する。

 

~禁忌~

①重度食道狭窄

②意識障害(流動食を誤嚥しやすい)

③呼吸器疾患 

設置後、レントゲンにてカテーテル遠位端の挿入位置の確認を行います。到達部位の目安は第7~8肋間です。特別な事情で胃内へ設置することもあります

必要エネルギー

BERとは生命活動を行うのに必要なカロリー

・BER(基礎エネルギー)

 2kg未満の子BER=30×BW+70 

 2kg以上の子のBER=体重×体重×体重√√×70

 →BERを計算したらMERの式に当てはめてMERを出す。

MERは体重を維持するのに必要なカロリー

・MER(維持エネルギー)=BER×下記の疾病係数


 疾病係数

 犬

 ・子犬母犬・・・2

 ・妊娠1-4週・・・2

 ・妊娠5-6週・・・2.5

 ・妊娠7-8週・・・3

 ・離乳期〜3ヶ月・・・3

 ・4-9ヶ月・・・2.5

 ・10ヶ月-1歳・・・2

 ・未去勢未避妊・・・1.8

 ・避妊済み・・・1.6

 ・肥満またはシニア・・・1.4

 ・減量が必要な犬・・・1

 猫

 ・子猫母猫・・・2.5

 ・妊娠猫・・・2  

 ・離乳期〜3ヶ月・・・3

 ・4-6ヶ月・・・2.5

 ・7ヶ月-1歳・・・2

 ・未去勢猫・・・1.4

 ・去勢避妊済み・・・1.2

 ・肥満または高齢猫・・・1

 ・減量が必要な猫・・・0.8


  →MERを出したらそのカロリーから与える食事量を計算する。




〜用意するもの〜
・空の10cc注射器
・水の入った10cc注射器
・流動食入り10cc注射器

〜与え方〜
①カテーテルのキャップを折り曲げ空の10cc注射器を挿し込む
②注射器を少し引き陰圧である事を確認する。
③空の10ccの注射器を抜き、水が入った10cc注射器に付け替える
④水をカテーテルにゆっくりと5cc程押し入れ、咳き込んだりしないか、カテーテルが詰まってないかを確認する。
⑤次に流動食の入った注射器に切り替えてゆっくりと10cc入れる。
⑥流動食を入れ終わったら水の入った注射器に付け替えまた5cc程送り込みカテーテルを掃除する。
⑦掃除が終わったらカテーテルのキャップを閉じ所定の場所に巻きつけて終了。