鳥の疥癬(トリヒゼンダニ)

トリヒゼンダニは0.3-0.4mm大の顕微鏡で見ないと見えないダニです。皮膚に穴を掘りながら生活していて発症すると軽石様病変という典型的な病変を、作ります。
主に脚やろうまく、嘴、目の周りが多いです。
治療はイベルメクチンドロップ(イベルメクチン0.1%)を一滴/50g/1week肩に垂らします。我が子が200gなら4滴です。これを3週間続けます。
低刺激が良い場合は2硫化セレンを2倍希釈して1日1回患部に塗布してみましょう。


卵詰まり

食欲不振と排泄障害で来院されたセキセイインコ。
腹部が膨満しており、卵詰まりが疑われたのでレントゲンを撮ると楕円形の卵が確認された(軟卵は映らないケースも多い)。
吸入麻酔にて鎮静をかけ卵を摘出した。

実は卵詰まりの対処法は様々で

①軽症で食欲元気排便が普通なら27ー30度に保温し、1日一度だけ一時間程度35度にして鳥が羽を広げる時間を作る。これを数日続ける。この時自由飲水とビタミン補給とカルシウム補給を行う。

②食欲が落ち元気もなくタール便または便秘なら保温処置を施し吸入麻酔を行い卵を指で総排泄こうに持っていき固定し卵管開口部を確認しながらピンセットで卵を割り、割れた卵を両端から中央へ押しながら少しずつピンセットで筒状にしながら取り出し脱出した卵管を棒で戻す。

③また卵管脱出がひどい場合は肛門左縁から1/3ないし1/2の部位の肛門縫合を一糸のみ行う。その糸は1週間後に抜糸して再度出てこないか観察する。

④卵が上の方に停滞している時は開腹を選ぶ。術前にプレドニゾロンとトランサミンを皮下注射し、全身麻酔を行い頭を高い位置に保定し気道を確保する。卵の真上の腹壁切開を行い、卵管を確認し卵管に一糸かけ卵管切開のち卵を摘出する。そして腹筋を縫い皮膚を縫合し二週間抗生物質を処方する。復調までは保温を徹底する。
インコの来院で多いが日照や食事栄養で予防できるため注意していきましょう。インコは年1~3回くらい4~6個の卵を二日間隔で産みます。過剰な産卵により卵管の異常をおこしたり体のカルシウムが卵のために少なくなる事で正常な産卵ができなくなります。またはじめての産卵、高齢、産卵過多、下痢や栄養不足日照不足によるカルシウム欠乏、卵巣卵管の病気がきっかけになる事が多いので産卵の個数が減ってきたり産んだ卵が柔らかくなったりしていたら動物病院にかかりましょう。また力んでいたりなかなか便が出ないお腹が膨らんでいる時も獣医さんに相談しましょう。インコは年1~3回くらい4~6個の卵を二日間隔で産みます。




そのう炎(インコ)

原因は菌の感染、トリコモナス という寄生虫、さし餌の酸敗、人の食べ物を食べている(高ナトリウム食)が挙げられる。
①あくびをしたり嘔吐が見られそのうを診ると赤く充血していて粘液やガスが溜まっているのが見える。
②水分過多による軟便や下痢がある事もある。
③食欲低下
検査としてはそのう液を採取し菌の検出を行い
細菌感染には抗生物質の投与、真菌には抗真菌剤の投与(アムホテリシンB錠1/2錠を15mlに希釈、一回5滴1日3回)トリコモナスには抗トリコモナス薬を処方する。
あまりにそのう液が多いは排液をしねあげる
嘔吐が激しい時は飲水制限をし、プリンペラン0.2ml/5mlに薄めたものを一回2滴を1日3回用いる。
さし餌が原因の場合、交換する。
刺激物由来ならグリチロン1錠/5mlを投与。
食欲不振例にはシプロヘプタジン0.2ml/5mlを一回2滴を1日3回与える。
食事は本調子になるまで頻回少量給餌可能であれば流動食を試みる。
飲水制限中は乳酸加リンガルを左右鼠蹊部に分割して皮下注射0.5ml-1ml/一羽とする。


そのう炎(家禽)

編集中

そのうとは食道にある袋で、ご飯を貯めておく様にできてます。
通常そのう→胃と動くが下記の原因によりそのう停滞が起き、空っぽにならず発症する。

停滞するのは鶏に不適切なご飯やカビが生えたご飯を与えたり、そのうにカンジダ(サワークロップ)などのカビが生じた場合か、トリコモナス 感染、もしくはそのうより下の消化管の動きに停滞が生じるのが主な原因となります。下の消化管の運動障害は長い紐状のものを誤飲してしまったり、急な食べ過ぎや重金属中毒などによるものもあります。
成鳥の場合はそのうより先の消化管に腸炎や胃炎、消化管停滞を起こす病気や異常がないか注意を払いましょう。
それよりさらに下の消化管の障害としては寄生虫症や腫瘍は鑑別が必要です。

治療としては
①水和
②抗菌剤
③抗真菌剤イトラコナゾール10mg/kg BID 21日
④抗原虫薬メトロニダゾール
⑤消化機能改善薬
⑥粘膜保護薬
⑦リンゴ酢1杯/4L自由飲水q3日

気嚢破裂

飼っているインコを子供が軽く踏んでしまったかもしれないと来院されたインコ。呼吸がとても速くなっており皮下気腫も起きており気嚢破裂を疑いレントゲン画像診断を実施。23G針にて穿刺を実施し、抗生物質を処方した。三週間におよび計三回穿刺を行った後再発はおさまった。

※本病気は頸部に発生した時は慢性そのう炎を、腹部に起きたときは慢性卵管炎を原疾患として疑う事。


趾瘤症(バンブルフット)

一件腫瘍の様に見えますが、生活習慣病の一種です。

すごく時間はかかりますが特殊な薬より生活を変えれば段々と消えていくんですよ🐥(※一度できると完全に消え切る事は稀です)
酷いと感染を起こして敗血症になったりするので未病のうちに防ぎましょう!

体重がかかりすぎて血行障害起こして床ずれのようになった状態です👣また小さな傷が原因でそこにブドウ球菌が入り込んだりが原因となります。
環境の改善が1番大事なんです。
処方箋は
環境の改善+減量+足の怪我+抗生物質+ビタミンAです。歩行は控えめにしてプールに良く入るようにしたり、落ち着くまでサポーターを巻いてあげましょう。サポーターはキズパワーパッドを患部サイズに取り付け、テーピングを巻くものです。化膿があればクロルヘキシジンで消毒します。治癒が遅い時は尿素クリームを使ってみましょう。

蝋膜の褐色肥大

通常メスで発症し、徐々に肥厚し、角のようになる。治療は必要としない。

嘴を止まり木に擦り付ける動作

文鳥が止まり木に嘴を何度も擦り付ける、嘴をカチカチ鳴らすなとの動作の多くは雄からの『好き』というシグナルである事が多いです。

皮脂腺炎(尾脂腺炎)

元々尾脂腺には羽が水に濡れてしまうのを防ぐために皮脂を分泌する機能があります。
腫れた場合、以下のことが考えられます。
①皮脂腺炎
②良性の皮脂腺腫
③扁平上皮癌などの悪性腫瘍

①番であれば切開排液後、抗生剤の処方
②③は外科的なケアになる。

文鳥は①が多い傾向。
ボウシインコはこの腺を持たない

外耳炎

インコの外耳炎は鼓膜周辺に色がつく事で気がつき来院される事が多い。
治療の骨格は抗生剤や消炎剤の内服、可能なら点耳薬の併用がある。
再発予防には環境改善があり、温度24-26℃に保つ、湿度も50%以下が望ましい。

ビタミンB1欠乏症

アワダマを主体とした食事はビタミンB1欠乏を起こしやすい。通常の穀物はビタミンB1を豊富に含んでいるために発生は稀である。
ビタミンB1が不足すると神経の糖代謝がうまくいかず足の麻痺(痺れを含む)、挙上、そして進行すると両側の足がやられる。
さらに進行すると神経障害は心臓や脳神経に及び亡くなる事がある。

鳥の処方例

【抗生剤】
25gの鳥なら
ABPC0.025×10mg×BID×10日=5mg(0.05g)を水2ml希釈で一回0.1ml 

35gの鳥なら
ABPC0.035×10mg×BID×10日=7mg(0.07g)を水2ml希釈で一回0.1ml

40gの鳥
ERFX0.04×5mg×SID×20日=4mgを水4ml希釈で一回0.2ml SID

50gの鳥なら
ABPC0.05×10mg×BID×10日=10mg(0.1g)を水4ml希釈で一回0.2ml

【抗真菌剤】
25g鳥なら
イトラベット0.025×5mg×SID×10日=イトラベット1/20錠を水1ml希釈で一回0.1ml

50g鳥なら
イトラベット0.05×5mg×SID×10日=イトラベット1/10錠を水2ml希釈で一回0.2ml


【消炎剤】
30gインコは0.03×0.5×1回分=0.015mg
pre注1ml中10mgであるため10倍希釈すると1ml中1mg。0.015ml中0.015mgとなる。10倍希釈液を0.015ml吸いグルコース液で0.1MLなどに希釈し一回量として飲みやすい量にして処方する。

50gインコでPre1mgの1/4を2ml希釈し、1回0.1ml SID

鳥の性別

◯オカメインコ
・1番のポイントは生後半年から一年で尾の羽の縞模様の有無。メスはある。
https://swmcoms.com/okameinko-seibetu-38734
・ルチノー色はメスが圧倒的に多い(性染色体劣性遺伝だから)。メス75%、オス25%
・身体的特徴全身の羽が白はオス、クリームがメス。
 羽根に黄色い斑点があったらメス。(明るい照明を当ててチェック)
・行動の特徴はアジ開き。メスはオスに給餌する。メスは尾翼をあげて雄を待つ。オスはメスの気を引くためにトントンと音を立てる。鏡を見てじっと見て鳴きかけたり気取ってあるいたり鏡の前にずっといるのはオス。

◯サザナミインコ
尾翼の横縞の有無。

◯コザクラインコ
頭の形が平べったいかどうかで判断。あとは紙切りなどの行動の有無もヒントになり、わからないときはDNA検査。

鳥類の症状からみた類症鑑別


メガバクテリア症

マクロラブダス
胃に感染する酵母菌。AGY(Avian Gastric Yeast)


主にセキセイインコが報告されているが、その他インコ類(コザクラインコ、ボタンインコ、オカメインコ)、ブンチョウ、キンカチョウ、カナリヤ、ニワトリ、 ダチョウなどに見られます。

鳥の胃の中に棲む真菌の感染症です。


餌を吐き戻しながら親が子供に給餌する習性から感染が拡大しやすい。また求愛行動でも感染を広げる要因となる。
症状:顕性は消化器症状(食欲不振、胃拡張、嘔吐、軟便、下痢、さくそう)、不顕性感染も多い。
未消化便(穀物がすり潰されずにそのままの粒で出てくる全粒便)、血便や黒色便(胃潰瘍からの出血による)が多い。

診断:PCR

治療:抗真菌剤 

抗真菌剤によって治療します。一旦症状が消えても粘膜ヒダの中に生き残っていることがあるため少し長めの投与を行います。稀に腫瘍を形成して治療反応が悪い例を見ます。


甲状腺肥大症

【症状】

4才以上のセキセイインコに多発する。初期には、夜中または明け方に、ヒィーヒィーという1オクターブ高い特有の発声音を呼吸と共に発する。進行するとこれが

1日中聞かれるようになる。保定時にこれを発して診断がつくことがある。カゴの網に嘴を掛け、のどを伸ばすような姿勢をとることがある。時として嘔吐する。急に飛んだり、何かに驚いて暴れた時に、血を吐いて急死することがある。進行した後、甲状腺腫または甲状腺痛となる場合もある。


【治療】

保温を行う。ヨードグリセリンを自由飲水投与で与える。25mlの飲水にヨードグリセリン1滴を下し、毎日取り替えて3週間連用する。4週間目からは週2日の投与とし、3カ月間程続ける。

早期に発見し早期に治療が開始できれば予後は良好である。ただし再発しやすいので、完治の後も週1~2回

ヨードグリセリンの投与を続けておいた方が良い。また、予防のため、健康な4才以上のセキセイインコにも、週1〜2回のヨードグリセリンの投与を獎める。

ヨードグリセリン(ヨウ素5g.ヨウ化カリウム10g.グリセリン500g)を25ml水道水と混ぜ自由飲水⇒安定したら週2日


オウム類の嘴・羽毛病(PBFD)

ポリオーマウィルス(PBFDウイルス)Circovirus(サーコウイルス)が原因による感染性疾患。主に、3ヶ月齢以下のオウム、インコ類およびフィンチ類。

感染経路は

・感染鳥の脂粉吸引

・感染鳥の糞を摂食

・感染鳥との接触

・感染した親鳥からの垂直感染

免疫力の高い成鳥(3歳以上)のほうが、感染するリスクは低いです。 


症状は鳥種や年齢によって異なりますが、羽毛の異常(変形、血斑など)や脱羽が特徴的。

・雛は食欲低下、体重減少、脱水、呼吸困難、突然死など

・2週齢以降のセキセイ、ラブバードはランナーという羽毛異常が見られることがあります。ほとんどが全身の毛が脱落しますが、部分脱毛であることもあります。これはウイルス感染による羽毛形成不全が関連しております。また嘴形成不全もあり、栄養障害性のものと鑑別が必要となります。

 また、成鳥では感染しても発症しない(キャリア)場合が多いです。セキセイインコでは免疫力低下に起因する消化器症状(下痢嘔吐尿酸色異常)が多くみられます。また中型〜大型鳥では口内炎がみられ食欲不振に直結します。

この疾患は慢性経過の中で羽毛形成不全によるランナーが見られる特徴がありますが、急性発症である場合、ランナーが出る前に貧血、肝不全で亡くなるケースが多いです。


血液あるいは異常羽毛の遺伝子検査で診断できます。


特効薬がなく、インターフェロン療法などが試されています。


セキセイインコのヒナ病(BFD)

以前フレンチモルトと呼ばれていた疾患です。主にオウム目(セキセイインコ、ラブバード、オカメインコなど)などなど。

ポリオーマウイルス(APV)による感染症です。鳥繁殖場の突然死症候群の原因として知られ、より幼い時期に感染した鳥はより発症しやすく、進行も激しくなります。しかしながら感染したからといって発症するとは限らずキャリアー(不顕性感染)となり生活することもあります。

・ヒナ期発症であると、致死率が30-100%と感染力が強く多くは無くなってしまうため問題となります。多くは発症すると10-25日以内に亡くなるケースが多いです。腹部膨大、腹水の貯留、肝肥大、頭振などの症状がみられた場合は予後不良です。

・生後12ヶ月齢で呼吸器症状として発症するケースが報告されています。症状としては呼吸困難と誤嚥性肺炎です。このケースでも大変致死率は高いです。

・成鳥でも体力が落ちた時に発症し、雛鳥と同じような経過を辿るケースが報告されていますが多くは一過性のウイルス感染に留まることが多くキャリア化します。しかし多数の感染症を同時に合わせ持つ個体ほど感染後の重症化リスクが高いでしょう。

⇒急性型では出血傾向と肝不全がおもです。見た目の症状としては羽毛異常、皮下出血、肝肥大、消化器症状、神経症状を、

⇒慢性型では羽毛異常のみが見られます。


血液および口腔と排泄腔スワブの遺伝子検査で診断され、陽性の場合、3ヶ月後に再検査して陰転しているかキャリア化したか判断します。インターフェロン療法、止血剤、強肝剤で治療します。