低ナトリウム血症

水中毒などに代表されるこの病気は実は色々なパターンがあります。
まず低ナトリウム血症を見つけたら考えること3選と各種治療法。
①低張性脱水型(Na喪失>水喪失量)
→治療法:
a生理食塩水持続点滴
b食塩補充:体重×50mg=1日必要Na量。
 1日必要Na量×2.54÷1000=1日必要食塩量
②浮腫性(水多すぎでナトリウムも増えるが)
→治療法:
aフロセミド1-2mg/kg iv
b絶水、ナトリウム制限食
c過剰水和からの脳浮腫に対しては7.5%高張食塩水(犬4ml/kg/5min.猫2ml/kg/5min)+フロセミド併用
※隠れ高Naなのてなるべくcは使わないように
③血漿浸透圧性(細胞から水漏出)
→治療法:
一般輸液補正
※緊急性が高いケース(脳ヘルニアや意識障害がある場合)
 ①0.9%生理食塩水400ml +10%Nacl 20ml×6Aに調合→0.6ml/kg/hで開始し、1時間毎に血中ナトリウム測定し6mEq/6h変動以内にする。(理論上低Na血症由来の痙攣は6mEq/Lの血清Na上昇により止まる。(←仮に6mEq/day以上急速にナトリウム上昇したら5%グルコースや低張液で補正)
②今後脳ヘルニアが起きそうな状態
 3%食塩水10分かけてiv
③中等度神経症状(意識障害、嘔吐、一過性痙攣)
補正
 △[Na]serum/l=([Na]infusate+[K]infusate)‐[Na]serum/TBW+1
   ※([Na]infusateは投与するNa、[K]infusateは投与するNa、[Na]serumは血清Na、TBW=0.6×体重
 
※慢性低Naはゆっくり治療したほうが安全。体液が正常に戻った時、ADH分泌に対する刺激がなくなり腎臓が水分利尿を強めNa補正は計算通りにならなくなる。

診断名は体液減少性低張性低Naなどと各々の分類的特徴を記載

※体液正常性低張性低Na血漿の場合、尿浸透圧でも分類できる。Uosmが100mOsm/ L以上でSIADH、甲状腺機能低下症、糖質コルチコイド欠乏症、Uosmが100mOsm/ L以下で多飲ととらえられる。